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ロアルド
あ!
見つけたっ!
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ロアルド
しーっ!
静かに!
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ロアルド
…………
…………
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パシャッ。
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ロアルド
…………んよしっ!
8人目ゲーーーット!
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ロディ
あ。占い師のお兄さんだ。
なにしてるの?
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ロアルド
やあ、君か!
ねえ、見た、今の?!
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ロディ
今のって……
欠片のことかな?
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ロアルド
ほらっ!
じゃーーん♪!
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|
ロディ
これ、今撮った写真?
いったい何を撮ったの?
あの岩かな?
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ロアルド
違うよ。ほら、ここ!
よく見て!
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ロディ
んー……。
……ああ、欠片が小さく映ってるね?
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ロアルド
これだけじゃないよ!
これも! ……これも、ほら!
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ロディ
あれー。10Fまで行ったんだぁ。
大丈夫だった?
あそこはまだ危険じゃない?
|
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|
ロアルド
いいや、全然。
若い女の子がキャーキャー言って、
ドワーフを追いかけまわしていたよ。
ただ、欠片の出現率は、
深く潜れば潜るだけ多くなるって噂だ。
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ロディ
ふーん…。
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ロアルド
さあ、こうしちゃいられない。
今日じゅうに10人目ゲットするぞ!
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ロディ
ねえ、そんなに欠片に会いたいのなら、
僕が呼び出し方を……
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ロディ
……
あー。行っちゃった…。
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ロディ
あんなに夢中になって…
でも、欠片に悪さしようってわけじゃなさそうだし、
まぁ、いいか…
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───ぐいっ。
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ロディ
★!
痛ッ!
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ロディ
誰だい、急に腕を引っ張ったりして!
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衛兵
あ、すまん。
つい慌ててしまった。
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ロディ
なあに?
僕なにか悪いことした?
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|
衛兵
いや、そうじゃない。
話を聞きたかっただけだ。
いま、欠片の呼び出し方を知っている
…というような意味のことを、
キミ言ったよね?
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ロディ
あ、うん。
お兄さんも、欠片探しやってるの?
|
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|
衛兵
こ、ここだけの話だけどな。
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|
衛兵
なあ、それで本当なのか?
本当に、呼び出し方なんてあるのか?
|
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|
ロディ
あるけど…
ちょっと確認させて?
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衛兵
な、なんだ?
何か代わりに欲しいものがあるなら、
構わず言え。何でもくれてやるぞ。
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ロディ
ええー♪
ホント?!
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ロディ
んーとんーと、じゃあねー…
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|
ロディ
……あ、いけない。
そんなことはどうでもいいんだ!
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|
衛兵
なんだ?!
気が変わったのか?!
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|
ロディ
ううん、そうじゃなくて。
だって、呼び出し方って言っても、
ご褒美をもらって教えるほどの
ことじゃないんだもの……
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|
衛兵
なんと!
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ロディ
それにね…
|
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|
衛兵
それに? なんだ?
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|
ロディ
欠片に会いたがる大人って、
たいがい彼をいじめたがるんだもの。
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|
衛兵
いじめる?!
まさか!
そんなこと、するわけがない!
|
|
|
ロディ
じゃ、なんでそんなに、
欠片に会いたがってるの?
それを教えて。
|
|
|
衛兵
そ、それは、
その、あれだ。
よ、要するに、……
|
|
|
衛兵
会うと、いいことがある、
って、言われているからだ!
というか、キミ知らないのか?!
|
|
|
ロディ
欠片に会うと、いいことが?
……あ。
それであの占い師も…?
|
|
|
衛兵
そうだよ! 誰も彼も、
欠片探しで走り回ってるんだぞ!
|
|
|
衛兵
さあ、教えてくれ!
俺はまだ、一度も欠片に会ったことがないんだ!
どうやったら、呼び出せるんだっ!!
|
|
|
ロディ
……わかったよ。
あのね、ごにょごにょ
…………
|
|
|
衛兵
…………
|
|
|
衛兵
………そんなことで?
|
|
|
ロディ
うん。
それだけ。
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|
衛兵
そ、そうか…
いや、真面目に期待した俺が、
ばかだっ…
|
|
|
ロディ
あ、信じてないね?
ちっちっち。分かってないなー。
だから君は、彼に会えないんだよ?
|
|
|
ロディ
おっけー、それじゃ、論より証拠だ!
僕が実際にやってみるから、見てて!
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|
|
衛兵
はぁ…
|
|
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ロディ
…………
|
|
|
ロディ
…………
|
|
|
衛兵
…………
|
|
|
衛兵
……わかったよ、キミ。
欠片探しに我を忘れていた僕が愚かだった。
もう、いいよ…
|
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|
ロディ
…………
|
|
|
衛兵
手間をとらせて、悪かったね。
それじゃ…
|
|
|
ロディ
!
|
|
|
ロディ
ちょっとちょっと!
なにスルーしてんの、お兄さん!
|
|
|
衛兵
はい?
|
|
|
欠片
…………
|
|
|
衛兵
あれ、君はどうしたの?
ずいぶんひどい格好だね…
大丈夫かい?
|
|
|
欠片
…………
|
|
|
ロディ
あ! そうか。
一度も会ったことがないなら、
分からないね!
|
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|
|
衛兵
え…?
そ、それじゃ…
ま、まさか…
|
|
|
欠片
…………
|
|
|
ロディ
そうだよ!
ね、言ったとおりでしょ!
|
|
|
衛兵
ほ、ほんとに…、
心で念じただけなのか…?
何か細工があるんじゃないのか…?
|
|
|
衛兵
あ、あれ…?
ど、どうしたんだろう、
目から汗が急に……
|
|
|
ロディ
あー。
そのパターン、よくあるみたいよ?
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|
|
衛兵
え?…
な、なに、パターンて( ;∀;)
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|
|
ロディ
欠片に会った時の反応だよ。
人それぞれ違うんだけど、
ぼろぼろ泣いちゃう人もいる。
女の人に多いらしいけど。
|
|
|
衛兵
ううう……
こんな姿、恥ずかしいけど、
止められないよ〜
うわーーーーん(>_<)
|
|
|
レイラ
あらロディ。
大人を泣かせて遊んでるの?
悪い子ね。
|
|
|
衛兵
うわーーーー
見ないでくださーーーい(>_<)
|
|
|
ロディ
ああ、逃げちゃった。
せっかく呼び出したのに、写真も撮らないで。
|
|
|
レイラ
悪かったわ?
お取込み中だったかしら。
あら、欠片ちゃん。
ここにもいたのね。
|
|
|
欠片
…………
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|
|
レイラ
皆があなたを一目見ようと走り回っているけど、
もうそんなレアキャラじゃないわよね?
ロディにだって、呼び出せるんだから。
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|
|
ロディ
そういえば、そうだね。
そんな昔のことじゃないけど、
みんな欠片をいじめなくなったみたいだよ。
|
|
|
ロディ
うーん。 どうしてあの頃は、みんな欠片を嫌ってたんだ?
なにがどうして、こんなに人気者になったんだろ?
|
|
|
レイラ
うふふ。
状況の変化って読めないものよ。
それに段階的でも線形でもないし。
|
|
|
フレッド
その通りだね。
先が読めないから、面白いんじゃない?
|
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|
レイラ
あらフレッド。
待ってたのよ。
|
|
|
フレッド
そう?
わりと時間どおりだったと思うけど…
あ、これが約束の品ね。
|
|
|
ロディ
うわー。
きれいな宝石箱!
|
|
|
レイラ
これが最後のコフレ・ノワールなのね?
間違いない?
|
|
|
フレッド
うん。
オレアルとグレーテに確認してもらったから、
間違いないと思うよ。
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|
|
レイラ
そう。
あなたにしては抜かりがないわね。
|
|
|
ロディ
コフレ・ノワール?
あれ。どっかで聞いた名前だな?
|
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|
レイラ
希少品よ。
扱っていた商人はごくわずかのはずだわ。
でも、もうすぐこの世界から無くなるの。
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|
|
ロディ
へえーー!
そりゃすごい!
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|
|
レイラ
それじゃ、サクッと行きましょうか。
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|
|
フレッド
うん、準備OK。
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|
|
ロディ
…………
|
|
|
ロディ
石の上に宝石箱を置いて……
……何をするつもり?
|
|
|
レイラ
見たらわかるでしょ?
|
|
|
ロディ
レイラさん、そのカナヅチは…
|
|
|
ロディ
!!!!
|
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|
レイラ
───ちょっと!
危ないじゃない!
|
|
|
フレッド
ロディ、箱を置いてくれ。
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|
|
ロディ
だめだめだめだめーーー!!
壊すくらいなら、僕にちょうだいっ!!
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|
|
レイラ
なに言ってるの。
そんなことできるわけないでしょ!
|
|
|
ロディ
なんでさ!!!
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|
|
レイラ
あなたに言ってもわからないわよ!
これはただの宝石箱じゃないの。
お宝コレクションにはならないわ、
あきらめなさい!
|
|
|
ロディ
けち!!!!
|
|
|
レイラ
───あっ!
|
|
|
フレッド
待てーーっ、
ロディ!
|
|
|
フレッド
ああ…
なんて足の速いやつだ…
|
|
|
レイラ
軽率だったわね。
あの子の前でやるんじゃなかった。
|
2- コフレ・ノワールと沈黙神
|
|
|
ロディ
ふー。
どうだい、ちょろいもんだ!
|
|
|
ロディ
それにしてもなんてきれいな箱だろう。
これを毎日眺めて過ごしたら、
さぞ幸せな気分だろうな!
|
|
|
赤シャツ
おい、君。
|
|
|
ロディ
!
だ、だれ?
こ、これは、初めから僕のもんだからね!
|
|
|
赤シャツ
そんな化粧箱に興味はないよ。
それより、連れに君のことを聞いてきたんだが。
|
|
|
赤シャツ
いっちょう俺んところにも、
欠片を呼び出してくれないか?
礼はたんまり弾むよ。
|
|
|
ロディ
欠片を…?
ああ、あの兵隊さんの友達かな?
|
|
|
ロディ
だったら、呼び出し方は彼が知っているよ。
教えたんだもの。
|
|
|
赤シャツ
ああ、それがな。
俺っちもやってみたんだが、
てんでうまくいかねえんだ。
|
|
|
赤シャツ
気がついたらよう、まだ欠片に
会っていないのは俺だけになっちまった。
これじゃメンツが立たねえ、
何とか呼び出してくれないか!
|
|
|
ロディ
うーん、そうなの。
なんか、意外と難しいみたいだね?
あんなに単純なことなのに。
|
|
|
ロディ
おっけー。
それじゃ、やってみるよ!
|
|
|
赤シャツ
よっしゃ!
頼むぜ!
|
|
|
ロディ
まかしといて!
…………
|
|
|
ロディ
…………
|
|
|
ロディ
…………
|
|
|
赤シャツ
……うーむ。
けっこうかかるんだな?
簡単だって言ったわりには…
|
|
|
ロディ
………?
んんー?
|
|
|
赤シャツ
どうした?
|
|
|
ロディ
おかしいな?
いつもならすぐに現れるのに…
|
|
|
赤シャツ
おいおい、頼むよ。
……まさか、俺がここにいるせいだなんて、
言うなよな?
|
|
|
ロディ
いや、そんなことは…
|
|
|
ロディ
僕の力が、無くなっちゃったのかも??
うわー、どうしよう?!
|
|
|
赤シャツ
な、なんだってえー?
そ、そんな殺生なーー!!
|
|
|
ロディ
いやだいやだいやだ、
もとに戻しておくれ、
助けておくれよ―――!!!
|
……………………
ピキーーーーーン。
|
|
|
赤シャツ
…………
?
|
|
|
赤シャツ
おい、ここはどこだ?
|
|
|
ロディ
やだやだーーー
力が消えるなんて、
そんなのやだようーーー
|
|
|
赤シャツ
おいぼうず、しっかりしろ!
|
|
|
ロディ
───へ?
|
|
|
赤シャツ
急に、妙な空間に飛ばされたぜ?
おまえ何かしたのか。
|
|
|
ロディ
あ!
ここは……
|
|
|
ロディ
沈黙神の庭だ!
|
|
|
沈黙神
…………
|
|
|
赤シャツ
だ、だれかこっちを見てるぜ?
|
|
|
ロディ
なーんだ!
欠片を呼び出すつもりが、
本体のところに飛ばされたんだ!
|
|
|
赤シャツ
本体、だと?
|
|
|
ロディ
よかったー。力が無くなるどころか、
もっと大きな力が使えるようになったんだ、
きっと!
|
|
|
ロディ
ねえ沈黙神、そうでしょ?
僕が君を呼んだから、こうして…
|
|
|
沈黙神
…………
|
|
|
赤シャツ
…………
|
|
|
ロディ
!
あっ、おじさん、なにするの!
|
|
|
赤シャツ
…………
|
|
|
ロディ
ちょっと!
僕の宝石箱を、返してよ!
|
|
|
ロディ
…………
あ!
|
ヒューーーーー
ポチャ。
|
|
|
ロディ
ひどいや…
僕のお宝が…
|
|
|
赤シャツ
いいや。
これでよかったんだ。
|
|
|
ロディ
よかないじゃんか!!
なんだい、人のものを勝手に池に
投げ捨てておいて、その言い草は!!
|
|
|
赤シャツ
いいから、見ていろ。
|
|
|
ロディ
もーーーーー!!!
|
ブクブクブクブク……
…………
|
|
|
赤シャツ
見てみろ。
あの様を。
|
|
|
ロディ
…………うわ!
|
ゴボゴボゴボ……
|
|
|
ロディ
な、なに?
あの染み出してる黒いものは……
古い血液みたいだ、気味が悪い……
|
|
|
ロディ
宝石箱の中身って、あれだったの?!
ひゃー、開けなくてよかった!
|
|
|
赤シャツ
うむ。
あれは、古い人類の、
最後の膿だ。
|
|
|
ロディ
は?
|
|
|
赤シャツ
あの箱───コフレ・ノワールは、
死を恐れる人間の弱さと、
それを利して支配を行う悪人どもの
瘴気を吸い集めていたんだ。
|
|
|
ロディ
……ど、どうしたの、おじさん。
大丈夫?
|
|
|
赤シャツ
しかし、どちらももはや
この世界に存在しない。
だから、あれは処分してしまわねば
ならなかったのだ。
|
|
|
ロディ
そ、それで、
レイラとフレッドは……
|
|
|
ロディ
………ん?
もしかして、僕を連れてきたのって、
あの箱のせいなの、沈黙神?
|
|
|
沈黙神
…………
|
|
|
赤シャツ
………!
フ、フハハ、
フハハハハハハ!
|
|
|
ロディ
……もう、今度は大笑いして…
この人壊れちゃったよ?
|
|
|
赤シャツ
フハハハハ、
そう、そうじゃあ、ねえ。
そうじゃねえよ、ぼうず!
|
|
|
ロディ
痛っ!
叩かないでよ!
|
|
|
赤シャツ
ああ、すまんすまん、
何しろ気分がよくってな…
……ちきしょう、
そういうことだったのかよ!
くそったれめが!
|
|
|
ロディ
気分がいいようには、見えないよ?
怒ってるじゃん。
|
|
|
赤シャツ
俺はなんてバカだったんだ……
こんなちっぽけなはったりに、
さんざん振り回されてよう……
情けねえったら、ありゃしねえ!
|
|
|
沈黙神
…………
|
|
|
赤シャツ
フフフ、そうだな、
そのとおりだ。俺はちっぽけなんだよ。
いいじゃあねえか、だからこそ俺なんだ。
|
|
|
赤シャツ
ハハハハ!
俺ってやつは、なんて無力なんだ!
ああ、ありがたいぜ、
この無為無力って奴ァよう!
|
|
|
赤シャツ
ハハハハ………
|
|
|
ロディ
おじさん!
どこ行くの! ねえ?!
|
|
|
ロディ
………あ?
|
……………………
ピキーーーーーン。
|
|
|
フレッド
あ。
帰って来たよ。
|
|
|
レイラ
あら。
よくもまぁ、無事に帰されたものね?
|
|
|
ロディ
あ、レイラさん、フレッドさん!
あのぅ、さっきは、そのぅ、……
|
|
|
フレッド
いいよ。
箱は処分してきたみたいだし。
|
|
|
ロディ
あ、あれ?
見てたんですか?? 全部?
|
|
|
レイラ
当たり前でしょ。
私たちを誰だと思ってるの?
|
|
|
ロディ
は?
|
|
|
フレッド
ホントに知らないみたいだね?
オレアルから、聞いてない?
|
|
|
ロディ
ううん。
|
|
|
ロディ
ねえ、それより、さっきまで一緒だった
おじさん、知らない?
なんだか壊れちゃったみたいで、
心配なんだ……
|
|
|
レイラ
ああ、あの人ね。
無事に壊れたわよ。
箱と一緒にね。
|
|
|
ロディ
え、えええーーー?!
|
|
|
フレッド
心配いらないよ。
壊れたというか、元に戻ったんだ。
|
|
|
レイラ
そうね。言葉ってめんどくさいわね。
古い彼が壊れて、新しい彼が出てきたの。
間違ったものが消えて、正しいものが現れた、
でもいいわ。───とにかく、
ここでは全員に同じ事が起こってるんだけど。
|
|
|
ロディ
………あ。
欠片だ。
|
|
|
欠片
…………
|
|
|
フレッド
そうだ。
この子の出現率が上がったのも、
皆がこの子をいじめなくなったのも、
同じ理由なのさ。
|
|
|
レイラ
そうよ。
最初のうちは、自分を壊すものだと思って、
みんな彼を拒んでいたの。
それは確かにその通りなんだけど。
|
|
|
ロディ
そりゃそうだよ!
壊されたくないもん!
|
|
|
レイラ
じゃ、どうして今は、
そんな欠片を皆で追いかけまわしてるの?
|
|
|
ロディ
え……っと。
誰かがそういうゲームを流行らせた!
……とか?
|
|
|
レイラ
本当のことが分かったからよ。
みんな、間違った自分を壊して、
正しい自分に会いたいのよ。
|
|
|
ロディ
うーん。
でもそれじゃ、欠片がなんだかかわいそう。
割に合わない役回りなんだね?
|
|
|
フレッド
あはは、ロディは優しいね。
本体にそう言ってあげたら?
|
|
|
ロディ
僕がそんな役回りだったら、
ぜったいに文句を言うよ!
それか、うんとたくさんの見返りがなきゃね!
|
|
|
欠片
…………
|
|
|
レイラ
ほら、ロディ。
欠片があなたに語りかけてるわ。
静かにしてごらんなさい。
|
|
|
ロディ
………え、うん…?
|
|
|
ロディ
………
|
|
|
ロディ
………
|
|
|
ロディ
………あ、そうなの。
そのほうが、楽なんだね?
うーん、そうかぁ……
|
|
|
欠片
…………
|
|
|
レイラ
よかった。
わかったみたいね?
|
|
|
フレッド
さすがは本体の欠片だね。
|
|
|
衛兵
あーーー♪
ここにも、欠片みっけ!!
|
|
|
ロディ
あ、お兄さん!
|
|
|
レイラ
ああ、さっきの人。
欠片クエスト進行中かしら?
|
|
|
ロディ
ねえ、お兄さん!
友達のおじさんに会った?
あの人、大丈夫だった?
|
|
|
衛兵
おじさん?
だれのことだい?
|
|
|
ロディ
えっと、赤いランニングを着て、
ひげもじゃで、しわがれ声の。
彼も欠片……いや似たようなものに会ったんだけど、
そのあと壊れちゃったんだ。
……あ、いや、直っちゃったんだ。
|
|
|
衛兵
君、何を言ってるのかわからないけど、
赤いランニングのひげもじゃおじさんなんて、
俺の友達にはいないよ?
勘違いじゃないのかい?
|
|
|
ロディ
え?
だって、君から欠片のことを聞いて、
僕に会いに来たって言ってたよ?
|
|
|
衛兵
そりゃますますありえないね。
僕は君のことをほかのだれにも
しゃべってないもの。
|
|
|
衛兵
あ?
欠片がどっか行っちゃった?
また、探さなきゃ!
おーい、欠片ちゃーーん♪
|
|
|
ロディ
あ、ちょっと!
お兄さん!
|
|
|
ロディ
…………
|
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|
レイラ
言ったでしょ?
箱と一緒に壊れちゃった
って。
|
|
|
ロディ
…………
|
|
|
ロディ
…………え?
|
|
|
レイラ
うふふ。
そういうこと。
|
|
|
ロディ
えええええええーーー???!
|
|
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|
フレッド
あははは。
本体に一杯食わされたね、ロディ?
|
|
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ロディ
そんなああああ!
そんなのいやだああああ!
|
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|
レイラ
やあね。
そんなにショックだったの?
|
|
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ロディ
だって、だって…
あのきれいな宝石箱が
………
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ロディ
あんなひげもじゃの
汚いおじさんだった
なんてええええーーー!!!
|
|
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レイラ
はあ?
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フレッド
う、うーん?
|
〜〜おしまい〜〜
|